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「相続税」の歴史~世界と日本

今日は「相続税」の歴史について振り返ってみたいと思います。

 

相続税の世界の起源としては、古代ローマ帝国までさかのぼります。亡くなった人の財産に対して一律に課税されていたようです。しかし近代的な相続税制度が確立されたのは、それよりもずっと後のことで、近世になってからです。

 

日本においては、日露戦争の戦費調達に悩んだ増税策の一環として導入されました。当時、相次ぐ増税を行いましたがそれでも足りず、欧米諸国の租税制度の調査の結果、ヨーロッパ各国に倣って採用されたと言われています。

しかし、当時の相続税での税収は予算案よりも大きく下回って、戦費の0.1%程度に過ぎなかったようです。

 

その後相続税は様々な変容を遂げ、国税収入に占める相続税の割合は上昇し、昭和初期には3~4%まで上昇しました。その割合は現在までほぼ変わっていません。

 

富の再分配という性格が強い相続税ですが、実は日本の相続税率は世界と比較しても高い水準にあります。取得金額によって税率は変わりますが、日本の最高税率は6億円超の場合55%になります。例えばアメリカやイギリスの最高税率は40%、ドイツは30%です。しかも、アメリカの場合、日本円にして10億円超の超富裕層だけが相続税の対象となっています。

 

また、海外には相続税自体を導入していない国もあります。例えば、シンガポール、マレーシア、中国、香港などです。さらに、もともとはあったけれども廃止された国もあります。例を挙げるとオーストラリア、カナダ、ニュージーランド、スウェーデンなどです。

 

しかし、相続税がなかったり税率が低かったりする国は、それ以外の税率(消費税など)が高い水準にあることも多く、必ずしも国民に優しいわけではありません。

また、日本の相続税率は累進課税方式であり、様々な控除や特例もあり、世界各国に比べて日本だけが重い納税義務を課せられているということはありません。

 

相続税には、富の集中を抑制することで経済的な格差を縮小し、経済格差の固定化を防止する目的があります。

そして、税収によって社会保障やインフラ整備など重要な役割を担っています。

今後様々な改正はあっても、相続税自体が廃止されることはまずないと思われます。

 

したがって、できるだけ節税対策を実施して納税額を抑えることが有効です。

ぜひ専門家にご相談ください。