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 2020年4月1日以後電子申告が義務化される法人がでてきます!

法人については、法人税等の申告について電子情報処理組織(以下「e-tax」と言います。)を利用している会社が多く存在します。国税庁によると平成30年度のe-taxの利用率は、法人税の申告で84.3%、消費税申告(法人)で82.6%であると公表しています。数字としては多い印象を受けますが、まだまだe-taxが利用されていない法人はあります。平成30年度税制改正により「電子情報処理組織による申告の特例」が創設され、一定の法人が行う法人税等の申告は、e-taxにより提出しなければならないこととされました。これを「電子申告の義務化」と言います。

 

電子申告義務化の概要をお伝えします。対象となる法人の範囲、税目、手続き等になります。

 

まず、法人の範囲ですが、上記にある通り一定の法人に限られています。(全法人が対象になるという訳ではありません。)具体的には、内国法人のうち、その事業年度開始の時において資本金の額又は出資金の額(以下「資本金の額等」と言います。)が1億円を超える法人が対象になります。これ以外にも相互会社や投資法人及び特定目的会社も該当することになりますが、一般的に多く見られるのは資本金の額等が1億円を超えるいわゆる大法人になるかと思います。

 

次に対象税目ですが、法人税及び地方法人税並びに消費税及び地方消費税が該当します。これも法人に関連するすべての税目という訳ではありません。これらの税目について、確定申告書、中間(予定)申告書、仮決算の中間申告書、修正申告書、還付申告書が対象手続きとなり、これらの申告書や申告書に添付されている書類の全てが電子申告の対象になります。

 

電子申告の義務化の対象となる法人(以下「義務化対象法人」と言います)は、納税地の所轄税務署長に対し、適用開始事業年度等を記載した届出書(「e-taxによる申告の特例に係る届出書」)を提出することが必要です。また、減資により資本金の額等が1億円以下となった場合等により義務化対象法人でなくなった場合には納税地の所轄税務署長に対し、「e-taxによる申告の特例の適用がなくなった旨の届出書」を提出することになりますので、義務化対象法人に該当することになる場合、該当しなくなる場合には一定の届出書の提出が必要になります。

 

最後に、具体的な適用時期ですが、法人税では2020年4月1日以後開始事業年度に電子申告の義務化が適用され、消費税は2020年4月1日以後開始課税期間から適用となります。消費税では、決算期に関わらず同日以後開始課税期間に適用され、課税期間の特例選択をしている場合、同日より前に開始した事業年度開始日の資本金によって義務化対象法人かを判定することになりますので消費税の適用については注意が必要になります。


電子申告義務化の適用判定は事業年度開始の日の資本金の額等で行います。3月決算法人であれば、2020年4月1日の資本金の額等が1億円を超えるのであれば、2021年3月期に係る法人税は電子申告が義務となります。12月決算法人であれば2021年1月1日の資本金の額等が1億円を超えるのであれば、2021年12月期に係る法人税は電子申告が義務となります。

 

消費税も同様ではありますが、上記にある通り課税期間の特例を選択している場合は注意が必要です。例えば、12月決算法人が課税期間を1月ごとに短縮している場合、法人税は2021年1月1日の資本金の額等で判定しますが、消費税は2020年1月1日の資本金の額等で判定を行うことになります。仮に同日の資本金の額等が1億円を超えていれば、2020年4月から1月ごとに始まる各課税期間は電子申告が義務となります。たとえ2020年4月など期中に減資して資本金の額等が1億円以下になっても2020年12月までの各月の課税期間は義務化対象のままとなりますので、課税期間の特例を選択している場合、2020年4月1日前の資本金の額等も注視しなければいけません。

 

今回は電子申告の義務化についての内容でした。全ての法人が対象となるわけではありませんが、注視していく必要があります。