税務トピックス
− Topics −

 テレワーク長期化・・・通勤交通費は課税されない?

新型コロナウィルス感染症の影響で発令された緊急事態宣言により、当事務所におきましては3月末よりスタートいたしました「営業時間の短縮及び社員の在宅勤務推奨」を継続しております。
現在、感染者数が再び増加傾向にあり、収束が見通せない中で、同じように当初短期間の予定だった在宅勤務(テレワーク)を継続している企業も多くなっているかと思います。


ところで、オフィス勤務の場合、通勤定期券代等は1ヶ月15万円までは非課税とされますが、在宅勤務できる中で定期代の必要性が弱まっても非課税扱いで問題はないのでしょうか?

 

■一時的なテレワークでも本来の勤務地は会社・通勤しないとは限らず
従業員らに支給する通勤手当は、一定の限度額まで非課税とされています。
一時的なテレワークの実施により、従業員らが会社に出勤しない場合でも、①従業員らの本来の勤務地は会社であること、②テレワークの実施期間中に従業員らが必ずしも通勤しないとは限らないことから、非課税と処理して問題ありません。

 

■通勤手当の非課税判定に通勤の”実績”は関係なし
しかし、例えば3月末に通勤手当(6ヶ月分の定期券の金額)を支給したものの、テレワークを実施し、その実施期間が長期化している場合などでは、会社への”通勤”が前提の非課税措置の対象外になるものと懸念する声も根強いところです。
この点、通勤手当の非課税判定においては、通勤手当を支給した従業員らが、結果的に、通勤したor通勤しなかった(定期券を使用or未使用)という”実績”は関係ありません。
通勤手当の非課税判定は、通勤のための運賃等に照らして、”最も経済的かつ合理的な経路等で通勤した場合の金額”であるか否かがポイントの一つとなります。テレワークの実施期間が長期化したとしても、従業員らの出社の可能性を踏まえた上で、一定の合理性をもって支給する通勤手当であれば、基本的に非課税と取り扱って問題無いわけです。
このたびの新型コロナウィルス感染症拡大の影響は、”収束”といえるタイミングも不確かであり、会社側も従業員らの感染リスク等に配慮しつつ、テレワークの実施期間等を検討してきたところだと思います。こうした状況下にもかかわらず、後の税務調査において、従業員らの通勤回数が僅少であることや、その期間が長期にわたることなどを理由に、通勤手当を給与課税の対象とする指摘を行うことは想定されていないようです。

 

■勤務地が自宅で通勤不要なら源泉徴収
ただし、最近一般企業が導入を進める”テレワークの義務化”については、勤務地が自宅となり、通勤自体が不要となるため、非課税となる通勤手当として不合理と判断されることもあるかもしれません。
もっとも、原則の通勤形態をテレワークに変更した場合には、通勤手当の支給自体を廃止することが一般的と考えられるため、従業員らの出社の都度、交通費として精算するなどといった対応を執ること多くなるでしょう。
また、従業員らに対して、テレワークの実施期間中に係る定期券の払い戻しを促し、その払戻額を「テレワーク手当」等に代替する場合は、当然通勤手当とはいえないため、給与等として課税対象となります。


※新型コロナウィルス対応等に関する各種ご質問は随時受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。