税務トピックス
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相続税の基本③-相続税の税率について―
前回、相続税は基礎控除額を超えた財産にかかってくるということをお話しました。
今回は、実際に相続税はどのくらいになるのか、についてお話をします。
相続税の税率は一律ではなく、累進課税方式になっています。
つまり、金額が大きければ大きいほど、かかる税率も大きくなります。
遺産総額から基礎控除額を引いた課税総額にかかってくるのですが、実は、単純にこの課税総額によって税率が決まるというものではありません。
税率は、「法定相続分に応じる取得金額」で決まります。
つまり、課税遺産総額を法定相続分に従って取得したと仮定して(実際に取得する金額ではありません)、それぞれの相続人が取得する金額によって決まります。そして、それぞれの取得分にそれぞれの金額の税率をかけたものの合計額が相続税の総額となります。
相続人毎に税額を計算するのならば、実際に相続する金額が法定相続分より少なかったら逆に納める税金が多くなりすぎるのではないか?と心配になるかもしれません。
ご安心ください。算出した税金は、あくまでも相続税の総額を計算するためであって、実際に各相続人にかかる税金は、実際に相続した金額で、相続税の総額を按分したものになります。
よって、万が一相続する金額が0円の場合は当然相続税を支払う必要はありませんし、全額を1人で相続する場合はすべての相続税を支払うことになります。
相続税率は10%から55%までと幅広く、金額によって細かく分かれています。
各税率には控除額が設定されており、税率が変わる境目での多少のずれによって損をすることはありません。
面白いのが、1件の相続の中で、相続人によって税率が変わることがあるということです。
例えば、遺産の総額が1億9,400万円で、相続人は妻と子供1人と、もう1人の子供の代襲相続人2人と仮定します。
法定相続人は4人なので、基礎控除額は5,400万円になり、課税遺産総額は1億4,000万円となります。
法定相続分にて分割すると、妻の課税遺産相続分は7,000万円、子供は3,500万円、代襲相続人はそれぞれ1,750万円となります。
妻の税率は30%で7,000万円×30%-700万円(控除額)=1,400万円。
子供の税率は20%で3,500万円×20%-200万円=500万円。
代襲相続人は15%で1,750万円×15%-50万円=212.5万円となり、合計相続税額は、
1,400万円+500万円+212.5万円×2=2,325万円と、少々複雑な計算になります。
つまり、相続人の数が多い場合は基礎控除額が増えるだけではなく、各相続人の法定相続分も小さくなるので税率が下がり、全体的に税額が小さくなるということです。
実際に今相続が発生したら、どのくらい相続税がかかってくるのか心配になりましたら、試算だけをすることもできます。
ぜひお気軽にご相談ください。