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相続税の基本②-相続税がかかるしくみについて―

相続税とは、相続が発生した時に、相続人が取得した故人の財産に対して課税されるものです。しかし、課税の対象は遺産の総額ではなく、基礎控除額を超えた部分に対してのみになります。

よって、遺産総額が基礎控除額に満たない場合は、相続税の申告も必要なく、相続税もかかりません。

 

基礎控除額は、法定相続人の数によって決まっており、以下の通りになります(法定相続人については前回の相続税の基本①をご参照ください)。

3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

 

例えば法定相続人が妻と子供2人の場合は、3,000万円+600万円×3人=4,800万円 となります。

よって、遺産総額が4,800円に満たない場合は、申告不要となります。

4,800万円を超える場合に、その超えた部分が課税財産となり、その価額に対して相続税がかかってくるので、申告が必要となります。

 

次に課税対象財産についてお話しします。

現金、預貯金、有価証券はもちろん、土地や建物などの不動産、その他自動車や貴金属や芸術品など、故人が所有していた物のうち資産価値のあるものは、ほぼすべてが課税対象財産となります。

しかし、課税対象にならない財産もあります。例えば、墓地や墓石、仏壇などは非課税財産です。

 

価格が変動するものについては、相続が発生した時点での評価となります。購入時の価格ではありません。

つまり、昔二束三文で手に入れた土地も、現在地価が高騰している場所であれば評価額は相当高くなりますし、逆にバブルの時代に高額で購入したリゾート地であっても、現在地価が下がっていれば評価額は低くなります。

 

有価証券の評価については、相続が発生した1日だけ異常に上昇することもありますので、前々月まで考慮した独自の計算方法で行います。不動産の評価はその年の路線価や固定資産税評価額等を用いて計算します。

 

預貯金については、相続発生時点での残高が対象ですので、慌てて葬儀費用を出金した場合などは、当然その金額も対象金額になります(実際に葬儀費用としてかかった金額は控除できます)。

相続発生後だけではなく、相続発生を予測して事前におろした預金なども対象になりますので注意が必要です。

 

また、死亡したことにより入ってくる生命保険金、退職金なども、課税対象になります。しかし、どちらも全額が対象になるわけではなく、非課税限度額を超えた金額のみが対象になります。

非課税限度額は以下の通りです。

500万円×法定相続人の数

 

また、相続税では配偶者のその後の生活を考慮して、配偶者の税額減税という制度があります。配偶者が相続した課税価額が1億6,000万円までか、法定相続分相当額(子がいる場合は1/2)までは相続税がかかりません。

それを超えた金額だけに相続税がかかってきます。

しかし、例として全額を配偶者が相続した場合でも、「1億6,000万円以下で相続税がかからないから申告不要だよね?」ということにはなりません!

この制度は相続税の申告をして、初めて適用される減税制度になります。

 

他にも未成年者控除、障がい者控除、相続が連続して発生した場合の控除、小規模宅地の特例、農地の納税猶予など、様々な減税制度がありますが、すべて相続税の申告をすることによって認められるものとなります。

 

まず、相続が発生したときは、故人の遺産総額が基礎控除額を超えるかどうかを確認して、超える場合は必ず相続税の申告が必要になります。

申告時に各種減税制度の適用により、相続税額が大きく抑えられます。自分で簡単に申告を済ませてしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、実は適用できる減税制度を利用せずに損をしてしまうこともあるのです。

 

相続税の申告が必要なのか不要なのか不明な場合でも、生前に試算することができます。

ぜひ相続に詳しい専門家に依頼することをお勧めします。