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遺産、どう分けたらいい?・・・・③遺産分割協議書を作成する場合

遺産の分割について、今回は「遺産分割協議書を作成する場合」についてお話しします。

相続が発生して遺言書がない場合は、相続人が話し合ってどのように遺産を分けるかを話し合う必要があります。その話し合いのことを「遺産分割協議」と言い、その協議で合意した内容をまとめた書類が「遺産分割協議書」となります。

全員が納得して署名捺印することで完成します。

遺産分割協議書には法的効力があるので、後からもめ事になることを防ぐことができます。

 

遺産分割協議書を作成するにあたって、まずはすべての財産を把握する必要があります。プラスの財産だけではなく、借入金などのマイナスの財産もすべて調査する必要があります。

万が一遺産分割協議書を作成後に新たな財産が見つかった場合は、既に行った遺産分割協議を行う必要はなく、新たな財産のみで遺産分割協議をすることで解決できます。見つかった財産が高額で、どうしても最初からやり直す必要が出てきた場合は、相続人全員の合意の上でやり直すことは可能ですが、新たな税金がかかる場合もあり、時間もかかるのでできればそのような事態を避けたほうが無難です。

遺産分割協議書に「新たな財産が見つかった場合は相続人○○が取得する」など一文を添えておくのも1つの方法です。

 

不動産がある場合、遺産分割協議で相続する人を決めない限り、法定相続分で共有となってしまいます。不動産を共有する場合、同居している家族のみでの共有ならばまだ良いのですが、共有者が多くなればなるほど注意が必要です。

不動産をリフォームする場合、賃貸に出す場合、また売却したいと思った時には共有者全員の合意が必要になってきます。

その後共有者に相続が発生した場合、新たな共有者に連絡もつかない事態も発生しかねません。

よって、不動産はできるだけ単独所有をお勧めします。他の相続人はそれに応じた額の預貯金など、他の財産を相続するなどの話し合いが必要です。

 

遺産分割協議書を作成する場合、遺産の分け方は必ずしも法定相続分の通りにする必要はありません。相続人全員の合意があれば、誰か1人だけが相続することも可能です。

例えば、配偶者が今1人で住んでいる土地と家のほか、今後の生活費程度の預貯金だけの場合など、配偶者が全額相続するのが妥当な場合もあるでしょう。

 

注意すべきなのは、遺産分割の方法によって、相続税の総額が大きく変わってくることです。

配偶者には税額の軽減を受ける制度があり、実は1億6千万円までは相続しても相続税はかかりません。1億6千万円を超えても、法定相続分までは相続税はかかりません。

ならば配偶者が全額取得するのが一番お得なのか?ということですが、いずれ配偶者の相続が発生したときに(二次相続)、今度は税額の軽減を一切受けることができず、膨大な相続税が発生してしまう事態になりかねません。

よって、遺産の分割については、慎重に考える必要があります。

 

こちらでは遺産の分割のパターンによる相続税額のシミュレーションなども行っています。

遺産分割でお悩みなら、ぜひ専門家にご相談ください。