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令和6年の路線価が公表されました

7月1日に、国税庁より令和6年の路線価が公表されました。

調査対象となっている全国にある約32万地点の平均は、昨年に比べて2.3%上昇し、上昇率は2010年以降で最も大きくなりました。3年連続で前の年を上回っています。

 

実は土地の評価の基準となる路線価は複数あり、前述の毎年夏に公表される「路線価」は「相続税路線価」とも呼ばれ、相続税や贈与税を計算するための土地の評価を計算する基準となっています。

 

不動産を所有している方に毎年届く課税明細書には、土地の固定資産税評価額が記載されていますが、こちらの評価額の基準となっているのは「固定資産税路線価」で、先ほどの「相続税路線価」とは若干異なっています。

「固定資産税路線価」の更新は毎年ではなく、3年ごとになっています。

 

この2つの路線価は何故別々にあり、異なっているのでしょうか。

 

それは、所管しているところが違うからです。

「相続税路線価」は相続税や贈与税など国税の算出の基礎となっていて、税務署が所管しています。

一方「固定資産税路線価」は固定資産税や不動産取得税など、地方税の基礎となるもので、市町村又は東京都が所管しています。

 

価格水準にも違いがあり、相続税路線価は公示価格の約80%、固定資産税路線価は公示価格の約70%となっています。

よって、片方の路線価がわかれば、もう一方の路線価の目安は以下の計算式で計算できます。

  • 固定資産税路線価 = 相続税路線価 ÷ 0.8 × 0.7
  • 相続税路線価= 固定資産税路線価 ÷ 0.7 × 0.8

その「公示価格」というのは、毎年国土交通省が発表している全国の土地の基準価格となりますが、どのように決まっているのでしょうか?

公示価格は、土地鑑定委員会という国土交通省が任命する公的な組織が、2人以上の不動産鑑定士に鑑定評価を依頼し、必要な調整を行って決定しています。

基本的に、公示価格は実勢価格の50~90%程度になりますが、土地の所在地によって異なってきます。

郊外や地方の場合は、実勢価格と比較的近い水準で求められる場合が多いのですが、都市部は実勢価格が短期間で大きく変動することもあり、価格差が大きくなる傾向にあります。

 

さらにこの実勢価格ですが、時価とも呼ばれ、実際に市場で売買された価格になります。

売り手と買い手との間で取引が成立する価格ですので、需要と供給が釣り合う価格となります。

よって、同じ地域にあっても土地の特徴や、さらには売り手や買い手の個人的な事情によっても左右されます。

 

令和6年4月1日より国土交通省で、「不動産情報ライブラリ」の運用を開始しています。これは、パソコンやスマートフォンで、誰でも簡単に不動産に関するオープンデータの閲覧ができるものになります。

こちらのシステムでは、地価公示や不動産取引価格情報のほか、近隣の学校や医療機関などの周辺施設情報や、防災についての情報も見ることができます。

 

このように不動産には様々な価格が存在します。

一度、所有している土地について色々調べてみるのも面白いと思います。

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