税務トピックス
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「相続税の申告が必要な人は一部のお金持ちだけ」と思っていませんか?

全国の死亡者数のうち、相続税を支払った人の割合は、令和4年で約10人に1人となります。

「うちは全国の上位1割の富裕層ではないから関係ない。」と思っていませんか?

 

相続税の対象になる資産は、金融資産だけではありません。不動産も大きな財産となります。

相続税を支払った東京都内の人の割合は、約7人に1人です。これは都内の土地の価格と大きく関係しています。

 

「でもうちは上位7分の1には絶対入っていないし・・・」

そう思った方、ここには非常に大きな落とし穴があります!

 

この数字は、「実際に相続税を支払った人」の割合であり、「相続税申告をした人」の割合ではないのです。

実は相続税には、申告をすることによって減額できる制度がいくつかあります。

申告をすることによって初めて相続税がゼロになる人が少なくないのです。

 

そもそも申告しなくてよい人は、相続財産の評価額が「基礎控除額」に満たない人だけです。

この「基礎控除額」というのは、3,000万円+600万円×法定相続人の数です。

例として、相続人が妻だけの場合、3,600万円が基礎控除額になります。

 

例えば都内の路線価40万円/㎡の場所に100㎡の土地を持っているだけで、単純計算で土地の評価額は4,000万円。

もうこれだけで相続税の申告が必要になってきます。そこに家が建っていれば、当然建物の評価額も上乗せされます。

 

しかし、残された配偶者が相続税を支払えずに住むところを失うような事態を避けるために、相続税には「配偶者控除」という制度があり、配偶者の法定相続分又は1億6,000万円までは課税されない仕組みになっています。

逆に1億6,000万円分の相続をしたとしても、配偶者にかかる相続税は0円です。

 

これで実際に相続税を支払う人の割合が少ないことも納得していただけたと思います。

他にも申告をすることによって初めて控除される仕組みがたくさんあるので、そちらについても今後少しずつ紹介していきます。

 

簡単な相続税シミュレーションなどもできますので、お気軽に専門家に相談してみることをお勧めします。